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「・・・・・・・っん・・・・っっっふ・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「はぁ・・・・ぁ・・・・は」
「ふー。悪魔くん大丈夫?」
「・・・・・ぁ・・・ん・・・」
「・・・・・・・・・?」
「う、うん・・・・・」


弛緩した身体がビクビク震えるから。
声を出すのは辛い。

でも君は今やっと快楽という夢から覚めて。
覚醒したように僕の身体を心配するので。

抱き起こして、抱きしめるので。


「・・・・・大丈夫だよ、二世・・・・」


力の無い顔で笑みを作った。
作成したスマイルは上等で上出来。
目が見えなくなる程、僕はくしゃくしゃの顔をしていた。

君が、好きで好きでたまらないみたいだ。


「悪魔くん、可愛いっ!!」
「・・・・・・・・・・・」
「俺の俺のっ!!もっかい笑って!!」
「・・・・・・・・・・・」


驚いた様に、嬉しそうな顔して。
二世の方が僕よりキレイに笑ってるよ。
あー負けたなぁーとか考えて。

でも僕もそのスマイルが見たくて、何度も笑った。

落ちた腕が君の背中に垂れても。
頬の筋肉だけは失わないから。

簡単な作業は、君の望むだけ、できる。


「あーもう俺本の次でもいいよ」
「・・・・・・・・バカ」
「無機質意外でトップだったらいいよ」
「・・・・・・・・・・・」
「俺悪魔くんより先に死んだら、速攻で栞になって生まれ変わってやるから」
「し、栞?!」
「だって本の続きを読むのって、楽しいだろ?」
「・・・・・・・・・」
「そしたら俺を見る度笑うってこったろ?」


君はネガティブにポジティブシンキング。

僕の頬をひっぱって。
ケタケタと笑った。
可愛い事言ってくれるから、何か反応を返そうと思ったのに。

あんまり笑って、それをするので。
力を込めて、つねってくるので。

結局できなくなって、小競り合いをした。


「痛いってば!!バカ力!!」
「ちげーよ。悪魔くんは根性がねぇんだよ痛がりめ」
「っっ人に痛いことばっかすんじゃないのっ」
「気持ちイイこともしてやってんじゃねぇか」
「っっ?!き、気持ちヨクなんてっっ」
「いーや言ったね。気持ちイイって言った。言った言った言ったー!」
「っっっ」


ステッキを掴むと服装を正した。
君は帽子を深く被ると僕の目の前で少し浮いて見せて。
見下ろすと舌を出した。

赤い、赤いやつだ。

さっきまでこれが絡まっていたのかと思うとなんて憎たらしい。
つねられて赤くなった頬には空気をためた。


「・・・・・・・・・・・」


でも。


「・・・・・・・・・もう・・・・・」


つまんない事で、意思を曲げてばっかりなのがイヤになって。
睨んだ顔も笑っていると言われてしまう様な僕だけど。

不機嫌な顔を止めて、君に腕を伸ばす事にした。
君の帽子を不意打ちに奪うと、怒って顔を近づけてくるのを待った。

そしたら。


「・・・・・・・・・っなにすん」
「・・・・・・・・・・」


唇を舐めて、生意気な赤い舌を噛んだ。
甘噛みしながら深くする。
少しずつ僕の中にしまいこんで、舌で舌を擦った。

これは僕の、キスだ。


「・・・・・・どんな感じ?」
「俺のよりイイ。それ欲しかったらやるからもっかいやって?」
「要らないよこんなの」
「っっうわー!!ムカツクわ!!」
「働いて返して。時給なら・・・・」
「・・・・・・・・」
「フリーパスをあげる」
「キスの?」
「特典はその他もろもろですよお客さん」
「いいねー」


クスクス笑って。
冗談を言い合うと楽しい。

君の上着をはぎ取ると、カッターをめくって
その擦り剥けた肘を舐める。

上目遣いに、「痛かった?」と聞くと「忘れた」と言って。

背筋を伸ばすと正座した。
あーもう、その態度で。
言いたい事が分かりますよお客さん。


「なぁ今そのパス有効?」
「・・・・・・・・ただいま閉園中」
「えーっ!!」
「今度はどんなアトラクション?機械が故障しそうなんですけど」
「次は優しく乗りますよ」
「っっっ」
「なぁもっかい!もっかいだけっっ」
「・・・・・・・」


もう一回が多いんだから二世は。
欲張りなのは悪魔だから?それともまた別の理由?


「いいじゃねぇか、な?」
「・・・・・・・またその気にさせといて」
「?」
「人がイイって言った瞬間に裏切る気・・・」


そこまで言った所で。

また階下からエツ子の呼ぶ声がした。
なんてタイミングだ?!まるで計ったみたいにっ。

僕のメフィスト二世を呼んで、僕の食べなかった分を。
「賞味期限に気が付いたから作ってあげる」って言ってる。


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